原産地

南ヨーロッパ

日本、長崎県への伝来

アスパラガスは、江戸後期(1818~30)鎖国の中、長崎にオランダ人によって伝えられました。当時は食用ではなく観賞用として栽培されていました。
食用としては、明治4年に北海道開拓使がアメリカなどから種子を導入して試験栽培を始め、本格的栽培は大正12年(1923)に北海道岩内町で始められました。翌年にはホワイトアスパラガスの缶詰生産が開始され、北海道、青森などでホワイトアスパラガスの作付面積が増加しました。
第二次世界大戦後は、台湾や中国の缶詰生産におされ、北海道、東北のホワイトアスパラガスは減少し、かわって鮮度、風味、栄養価の高い緑色野菜としてグリーンアスパラガスの評価が高まり、全国各地で栽培されるようになりました。
現在では、全国各地でいろいろな作型が開発され、11月、12月を除きほぼ周年供給体制ができあがっています。
長崎県では、明治末期に北有馬において南米移民から帰国した人から譲り受けて栽培し、本格的には昭和40年台に大村市で始まったとされています。

主要産地の推移

長崎県にアスパラガスが本格的に導入されたのは、昭和40年台で、大村市で春芽のみ収穫する春どり栽培が始まりです。その後、茎枯病の多発により栽培が一時中断しましたが、昭和50年中頃から水田転作作物の一つとして再び栽培が始まりました。平成に入り、雨よけハウスで夏芽も収穫する半促成長期どり栽培が導入されると収量が飛躍的に増加し、県内各地に普及しました。主要な産地は、島原、県央、壱岐です。
アスパラガスの全国の作付け面積は、約6,500haで、その約半分を北海道と長野県が占めています。九州は約450haとわずか7%にすぎません。しかし、収穫量でみると九州が約30%を占めており、長崎県は、作付け面積で第10位、収穫量、単収で第4位(H22統調)となっており、全国有数の主要産地となっています。

名前の由来

アスパラガスasparagusは同名の学名をもち、これは「新芽」を意味するギリシャ語のasparagosに由来。
江戸時代に渡来して以来、オランダきじかくし、西洋うど、松葉うどなどさまざまな和名がつけられました。オランダきじかくしの名は、オランダから渡来したことと、日本に自生するきじかくしに似ているためです。西洋うどは、ホワイトアスパラガスが軟白栽培したうどに似ているため、松葉うどの「松葉」は生長したアスパラガスの偽葉が、針状で松葉を思わせるためつけられといわれています。

苗から収穫までに3年かかる

アスパラガスは種から苗を育て、仮植して1年ほど養成し、そのあと本畑に定植。さらに1年、茎を伸ばして根株を養成し、3年目にして収穫が可能になります。

栽培の様子

選果場の様子

※参考文献
・「長崎県農林産物の伝来と歩み」平成25年3月
 長崎県農林技術開発センター
・「野菜ブック」食育のために 独立行政法人農畜産業振興機構

※取材協力:JAながさき県央

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