胸ビレが飛行機の翼のように長い魚です。魚体を輪切りにすると断面は逆三角形のように見えます。
体長35~40cm。
とびうお類の飛行はまぐろなど大型捕食者からの逃避行動の発達した結果で、水面から飛び出すときは尾部を激しく振って速度をあげ、前半身が水面から出たとき胸びれを広げて浮揚します。
空中では鳥や昆虫のように羽ばたきはせずグライダーのように滑空します。さより類にみられる水面でのジャンプが、とびうおの滑空の原型とされています。とびうお類は、伊豆諸島や南西諸島の周辺海域で多獲される産業上重要種であるだけでなく、まぐろ類などの大形魚の餌となり、生態系での役割も大きいといわれています。
胸びれはほぼ透明で模様は入っておらず、胸びれの最初の2軟条の先端が分かれていないことから、他のとびうおの仲間と区別できます。
産卵期は初夏で、孵化すると秋には南下し、春から夏にかけては北上します。幼魚では下顎に一対のひげがあります。
とびうおは脂肪が非常に少なく、加熱すると身がしまって固くなります。近年、卵が輸入されトビッコまはたゴールデンキャビアとよばれすし種にも使われています。
長崎では秋に平戸周辺で行われるあご漁が有名です。とびうおのだしはおいしく長崎では「焼きあご」として正月の雑煮に利用されます。
運動量が激しいためか脂肪分は少なめですが、意外にも高タンパク質です。
とびうおには元素の一種「セレン」の含有量が多く、セレンは抗酸化性に富むため、老化を防ぎ、心臓発作、リウマチ、関節炎、筋無力症などに効果的であるとされています。
また、筋肉や神経の興奮を制御するマグネシウム、血液を作る銅などのミネラルが豊富です。