中国説、コーカサス南部~パレスチナ地域説、中央アジア説、インド説等、諸説があります。
だいこんの原産地は地中海沿岸地域から中央アジアとされています。4000年以上前に古代エジプトではすでに栽培されており、ピラミッド建設の人夫たちは、たまねぎやにんにくとともにだいこんも食料にしていました。
日本には8世紀ごろ中国南部から渡来しました。広く栽培されるようになったのは江戸時代からで、当時飢餓対策として作付けが奨励されました。
また、だいこんは古くから全国で作られてきたことから、地方独特の品種がたくさんある野菜です。
長崎県における栽培の歴史は明らかではありませんが、1898
(明治31)年に創立された農事試験場(長崎市中川町)において品種試験や肥料試験が手がけられていたということからして、栽培改善には相当以前から取り組まれていたものと推察されます。
統調によると、長崎県のだいこんの栽培面積は、昭和30年代は約2,000ha前後でしたが、昭和40年代に入り減少傾向となり、1985(昭和60)年には1,000haを割り998haと20年間で半減しました。その要因は、沢庵漬の消費量の減少によるものであり、このことから加工用(漬物用)が多く栽培されていたことが伺えます。その後も減少の一途を辿りますが、1999(平成11)年に増加に転じ(711ha)、以降750ha前後で推移しています。
だいこんは県下全域で栽培されていますが、産地としては、島原市(旧島原市、旧有明町)、諫早市飯盛町、西海市西海町で、西海町ではゆで干し大根が生産されています。特に根菜類の栽培に適した黒ボク土壌の旧島原市、旧有明町は、日本有数の春だいこんの産地で、その質の高さと後継者が多く残る将来性のある地域性は、市場から高い評価を得ています。
現在は、秋冬だいこん、春だいこんが主たる作型で、11月~5月までの継続出荷体制が成り立っています。秋冬だいこんは、9月~10月に播種し、11月上旬~2月に収穫します。春だいこんは、10月下旬~3月中旬まで播種し、3~5月に収穫します。従来春だいこんはトンネルによる栽培が行われていましたが、2007(平成19)年以前ころよりベタがけ資材を被覆する栽培が試作され、現在では2月中旬以降播種する作型においてベタがけ栽培が普及しています。
現在一番出回っている系統が青首(あおくび)だいこんといわれ、生食や煮物、漬物に利用されます。
だいこんは、根にビタミンCやデンプン分解酵素のアミラーゼが含まれています。アミラーゼは消化を促し、胸やけや胃もたれを予防してくれます。だいこんは葉を捨ててしまいがちですが、葉には豊富なカロテン、ビタミンC、カルシウム、食物繊維が含まれています。だいこんの辛味成分は「アリルイソチオサネート」という辛子油の成分です。胃液の分泌を促し、腸の働きを助けてくれます。
だいこんの花
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栽培の様子
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※参考文献